【コラム】「鍛えた力」を「使える力」へ | 可動域・ベクトル・力積で解き明かす「パフォーマンスの正体」

身体能力から競技動作へ

競技者にとってウェイトトレーニングの真の目的は筋量アップや筋力アップではありません。
最終的には、取り組んでいる競技のパフォーマンスアップです。

しかし、現実はそう単純ではありません。
「パワーが上がれば競技力も上がる」のであれば、誰も悩みませんし、トレーニングを敬遠する人もいないはずです。


実際に聞く多くの悩み

👨「ウェイトトレーニングに取り組んでいますが、競技との関係が分かりません」

👩「ウェイトトレーニングやって競技力が下がった選手がいます」

僕のところに来る方も、取り入れてはみたいものの考え方がわからずに懸念し、始められない方が多くいました。

こうした不安を抱くのは当然です。
一般的なトレーニング本には、その力を「あなたの競技」にどう変換するかまでは書かれていないからです。


AGELCAのアプローチ

AGELCAでは競技特性に基づいた「力のつなげ方」を提唱します。

必要な筋力や可動域を、どのようにベクトル(方向)や瞬発力(パワー)へ変えていくか。
トレーニングの動作一つひとつに、パフォーマンスアップのヒントが隠されています。

今回は、あなたの競技とウェイトトレーニングを正しく結びつける「考え方のヒント」をお伝えします。

多くの競技者は、「目の前の重りを挙げること」自体をゴールだと考えてしまいがちです。

確かにそれも一つの指標ですが、パフォーマンスの本質とは「いかに効率よく力を伝え、その出力を最短の時間で完結させるか」にあります。

競技中の動作は一瞬ごとに変化し、次々と移り変わる局面への「適応(スキルからスキルへの順応)」が連続することで、一つの高いパフォーマンスが形成されます。

これらを意のままに体現するためには、単なる筋力だけでなく、以下の3つの要素を深く理解し、コントロールしなくてはなりません。

  1. 関節の可動域:力を発揮するための「助走距離」を確保する
  2. 力の方向(ベクトル):エネルギーをロスなく目的に伝える
  3. 力積(りきせき):限られた時間内で最大の力を加える

日々のウェイトトレーニングにおいて、この3点を意識するだけでも、競技への結びつきは劇的に変化します。

1.パフォーマンスの土台は肉体にある

ウェイトトレーニングを行うと、筋肉が硬くなり可動域が狭くなる。なんて言う方もいますが、それは半分正解で半分誤解です。

多くの研究でウェイトトレーニングは可動域を広げると報告されています。

では半分正解の部分はなんなのか。
それは可動域を制限したウェイトトレーニング(クウォータースクワットなどのフルスクワット以外のもの)は特定の箇所だけに刺激が入りその部位だけ筋収縮を行うので、習慣的に繰り返すと硬くなると言われています。

ですので、前提を揃えるため繰り返しますが、ウェイトトレーニングは最大可動域で行うと可動域は広がっていきます。
実際にAGELCAのお客様で66歳の女性マスターズ選手もフルスクワットを3年半取り組んだ結果、可動域や姿勢が良くなり63歳時の記録を塗り替えました。

また可動域を広げることは理想としても、年齢を重ねると今ある可動域を守ることも大事な切り口となります。
加齢で狭くなるのは自然なこと。
だからこそ、トレーニングでその『目減り』を食い止め、むしろ広げていくことが、同年代に差をつける最大の武器になります。

可動域が狭くなると今までできた関節幅ができなくなるわけですから、それに応じて出来ない技術動作も増えてしまいます。

今ある技術やパワーを守るためには、今の可動域をなんとしても守らなくてはなりません。

これは、パチンコ玉を飛ばすチューブと同じ原理です。
パチンコ玉のチューブの引ける距離が狭くなればなるほど、飛距離(パワー)は落ちてしまいます。
逆に引ける距離が長ければ長いだけ、飛距離(パワー)を出すことは可能です。

今ある可動域を広げたり守ったりすることは、ウェイトトレーニングで作ることは可能です。


2.ベクトルを想像する

筋量も筋力も上がった。
しかしパフォーマンスが上がらない。

こんなことは日常茶飯事ですが、ひとつ考えを深めてほしいことは力の方向は合っているのか? と言うことです。

これをベクトルと言いますが、このベクトルがズレていたら本来進ませたい方向とは外れてしまいます。

また筋量や筋力が上がっているとなると、力が上がった分、ズレの影響が大きくなります。

なぜなら間違った方向に力強く進んでいってしまうからです。

これもパチンコを例に補足します。

引っ張れる可動域も増えた。
引っ張れる力も強くなったしチューブも太くなった。
これで狙いを定める技術がなければ…?

パチンコ玉はとんでもない方向へ飛んでいってしまいます。
チューブが太く強力になった分、その「ズレ」がもたらす代償は大きくなるのです。

つまり技術的な要素、そしてベクトルをコントロールするということは非常に繊細な技術になります。

スポーツでは一瞬の出来事として判断し方向を定めなくてはならないから難しいのです。

だからこそ「ゆっくり動けるウェイトトレーニング」から自身が生み出しているベクトルを意識していくことが初心者には必要な工程となります。

どれほど重たいものを担ぐことができたとしても、方向がズレていたらスポーツには活きてきません。
私は、この「身体の感覚としてのベクトル」を丁寧に理解し、身につけていただくことを指導の根幹としています。


3.力積を考える

可動域も増えた。ベクトル調整も上手くなった。
しかしパフォーマンスが上がらない。

こんなことも日常茶飯事ですが、さらに考えを深めてほしいのが「力発揮する時間は技術に対して間に合っているのか?」と言うことです。

これを力積を言いますが、発揮しなくてはならない力を時間内に発揮できなければパワーとベクトルが合っていても目的は達成できません。

力積 = 「力」 × 「時間(使えた時間)」

例えば、ランニングやスプリントの接地時間は0.2秒ほどと言われています。
つまりこの限られた0.2秒でパワーとベクトルを合わせなくてはならないということです。

分かりやすく力が100の場合「100×0.2=20」となります。

つまり時間が長ければ長いだけ、100の力を維持できれば(基本的には疲労蓄積で維持できない)力積は大きくなります。

3秒かければ最大発揮できます!
いやいや3秒かける局面などスポーツに「存在しません。」

時間をかければ挙がる重量を競うパワーリフティングなら正解ですが、刻一刻と状況が変わる多くのスポーツにおいては、ゆっくり動いている暇はありません。

先にも記した通り、スポーツは瞬間的に判断し身体を動かしていますから時間をかけることができません。

ウェイトトレーニングで力がついた後に、力積を理解しないとパフォーマンスに繋がらないパターンが多く、ウェイトなんて重くなるだけだ。と考えてしまいます。

ウェイトで「力」の最大値を高めたなら、次はそれを「素早く発揮する」ための練習を組み合わせる。
このセットがあって初めて、筋肉は競技に活きる武器へと変わります。
繰り返しますが、ウェイトだけやっていればOKという単純なものではないということです。


「ウェイトトレーニングに励んでいるけれど、いまいち競技に活きていない……」 そんな違和感を感じている方は、ぜひ今回の視点を参考にしてみてください。

「力を上手に使う」ためには、以下の3つの要素をどこまで深掘りできるかが鍵となります。

  1. 可動域の幅(エネルギーを貯める器の大きさ)
  2. ベクトルの調整(エネルギーを放つ方向の精度)
  3. 力積の理解(限られた時間内で力を出し切る技術)

これらを「知る」ことからスキル獲得が始まり、それが「習慣」に変わることで、初めてパフォーマンスに劇的な変化が起きていきます。

AGELCAでは、ウェイトトレーニングを通じてこれらを丁寧に指導しています。
可動域の制限、力の方向、そして発揮の仕方のクセ。
それらは一人ひとり全く異なります。

「自分がどのように動きたいのか」を明確にするために、まずは「今、自分がどのように動いてしまっているのか」を知ることから始めてみませんか?

あなたの可能性を最大化するトレーニングを。
表参道のAGELCA personalgymで、お待ちしております。

お気軽にお問い合わせください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA